モーニングサービス_1
社会人になって間もない頃、大学同窓の友人を東京に訪ねた。
朝7時過ぎに寝台特急は東京駅に着き、迎えてくれた友人は東京駅八重洲口からほど近い地下の喫茶店に案内してくれた。
「量は少ないけど、コーヒーのおかわりもできるし…」と言って、一緒に食べたのがモーニング。
コーヒー、トースト、そしてゆで卵のセットで、「こんなサービスがあるんだ」と感心した覚えがある。
満腹とはいかないが、少し得をしたような不思議な気分。
以来、モーニングは常に私の頭の一角を占めている。
旅先で泊まると、モーニングサービスの喫茶店をつい探してしまうし、ドライブ中でもモーニングの案内を見ると、お腹が空いてなくても入りたくなってしまう。
四国を歩いていた時(いずれ、別項で書くつもり)にも、何度か誘惑に負けそうになった。
値段が高くておいしいのは、ある意味では当然。
そこへ行くと、モーニングは安くて、シンプルなだけに、お店の工夫と、基本的なレベルが表れているように思う。
なくなってもう10年ぐらいになるが、今でも懐かしく思い出すのは繁華街から一歩入った裏通りの喫茶店。
暗くて、狭くて、動き回るには要注意、その上テーブルも椅子も年期が入っていて、初めて入った時には「なに、ここ」と思ったけれど、コーヒーとトーストは絶品だった。
小振りだけど、パンも、具も決まっていたサンドイッチはいつも食べた後に、せめてもう一切れと思ったものだ。
年配の、いかにも一途な雰囲気の、こだわりと、誇りを感じさせるマスターも様になっていた。
残念ながら、この喫茶店のモーニングを越えるものには未だに出会っておらず、現在も好みに合うモーニングサービス探しが続いている。
下記はこの姉妹店のモーニング。合格点ではあるけれど、コーヒーも、パンも上記のレベルには及ばない。値段は両方とも500円。
別のお店。雰囲気はしゃれてるし、やはり合格点ではあるけれど…。値段は上500円/下550円。
さて改めて考えてみると、こだわりの第一はやはりコーヒー。(モーニングに限らないが、)コーヒーに魅力のない喫茶店には二度と行く気にならない。逆に、コーヒーさえ、おいしければ他は少々は許せる気になる。
第二はパン。生地、焼き加減、マーガリンの塗り方にも作り手の気持ちが感じられるような時があるのは不思議だ。
第三の卵、サラダ類は置いといて、叶うなら日経新聞(購読紙に次ぐこだわりの全国紙)があり、主張しすぎない程度にバックグラウンドでクラシックが流れていると嬉しい。安上がりだが、私にとっては至福の時が誕生する。
いずれは、モーニングサービスが噂の名古屋、岐阜へ出かけようと心密かに狙っている。
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